悪魔の山を征服し、晴れてウルトラマンになれた日

今年の大きな目標の一つであった、Brazen RacingのDiablo Challenge 50Kmレース。去年はハーフマラソンに参加し、練習不足と4月とは思えない暑さにやられてぼろぼろだった。
自分にとっては初めての50km、ウルトラマラソン。なのにランナー仲間の間でもかなり大変だと噂のこのレースを選んでしまったのはちょっと無謀な気もしたが、どうせなら友人達が大勢参加するレースの方が楽しいだろうと思い挑戦を決めた。
  
レースのスタートは午前7時だが、まずWalnut CreekのCastle Rock Parkに5時半集合、シャトルバスでスタートのBrentwoodまで移動するため、この日は午前2時半起床。4時に友人二人をピックアップして出発。5時過ぎにCastle Rock Parkに着いたらすぐにシャトルが待っていて、6時前にはスタート地点に到着。ちょっと早すぎたか? 
それにしてもBrazen Racing、手際が良すぎる。このあたりのトレランの主催者としては人気急上昇中で、今年の50k参加者は150名を超えていた様だ。Brazenには熱烈なサポーター達がいて、Be Bold, Be BrazenなるFBページを立ち上げたり、全レースに参加するStreakersもかなりの数いる。たまにしか参加しない自分も仲間に入れてもらっていて、友人達と談笑しながらスタートを待つ。
  
午前7時ちょうどにスタート。気温は51°Fくらい。最高気温は81°F。朝からかなり暖かかった。
Mt.Diabloの頂上までは登らないコースだが、とにかく急なアップダウンが連続するタフなコース。わりとフラットな部分は最初の4マイルだけ。去年の50kの結果から、自分の実力では8時間くらいかかるだろうと予想し、エレベーションチャートにエイドステーションの場所、そしてそこまでの目標タイムをRock Tapeに書き込み腕に貼った。レース中には意識朦朧としてしまうので、このシンプルなチャートが分かりやすく役に立った。

  
最初のうちは広めのファイヤーロードで走り(歩き)やすく、それでも体力温存のためゆっくりと最初のエイドステーションを目指す。かなりの部分をこの日知り合ったJohnと話しながら走った。彼も初めての50kmだったらしい。遠くにLos Vaqueros reservoirを望む。

  
一つ目のエイドステーションには予想より10分ほど早く到着。水をバックパックに入れてもらい、ポテト等を少しだけ食べる。今回はGelを14パック持参したので、ほぼ30分おきにそれを流し込んでおり、固形物は最低限にとどめた。
コースはこの後Morgan Territory Regional Preserveに入って行き、緑の草原が広がるきれいな景色が続いた。

  
ここから第2のエイドステーションまではネット下り坂。急な坂は足に負担をかけない様とにかくあせらずゆっくりと走った。それでも予想より30分ほど早くエイドステーションに到着。ここがほぼ中間地点、3時間半かかった。スイカ、ポテトを軽く食べ、水を補給して出発。この辺りまではAlexがすぐ後ろにいた。
この後の登りは距離は短いがかなり急で、シングルトラックのトレイル。第3エイドステーションまでの間にかなり疲れが溜まってくるのが感じられた。気温もかなり上がっているようで、顔や腕に塩が吹き始める。幸い足首や膝の痛みは無いが、精神的にかなり辛くなってきた。
第3エイドステーションは23マイル過ぎ。暑さでまいり始めている所だったので、バックパックには氷を入れてもらい、また氷水をスポンジにつけてそれを顔、首、頭等にかけて目を覚ます。気分的にはかなりすっきりしたが、腰痛がかなりひどくなってきた。
ここからは下りが続くのだが、足の疲れが限界にきており思ったように走れない。小さな小川を渡るたびに、全身に水をかけて気分転換をはかった。
しかしトレイルの一部は白い砂や岩盤で、照り返しを浴びて暑さも絶頂。おまけに今年はガラガラ蛇が大量発生しており、一度はあやうく踏んづけるところだった。疲れた足で突然見つけたヘビをジャンプしたり、よけたりするのにはかなりの体力を消耗させられたw。

  
第4エイドステーションではとにかく氷をもらい、氷水を体にかけて冷やした。この時点で少し胃が気持ち悪くなっており、Gelを食べても吐き気をもよおした。胃が受け付けるのは冷たい氷水だけ。最後の3マイルは下りなのだが、ふくらはぎはつり始め、太ももが限界で泣く泣く歩いて下った。
最後の2マイルくらいでどこかのおばさんに抜かれたが、彼女の力強い走りにつられて再び走り始めた。何度も小川を渡るのだが、シューズが濡れるのも気にせずジャブジャブと渡り、Castle Rock Parkが近づくと自然と力が出てきた。スタート前に主催者のSamが「実は51kmくらいあるんだけど、そんなの誤差範囲さ!」と言っていたのを思い出す。確かに最後が長かった気がする(笑)
ゴールにはPeter & Kate夫妻が待ち受けていて、疲れてはいたが笑顔でゴール出来た。そしてこれが普通のマラソンランナーがウルトラランナーになった瞬間?

  
結果は7時間35分12秒、完走者157名中95位。予想の8時間よりは早かったが、もう一つの目標であった、ガーミンの電池切れ前にゴールすることはかなわなかった。。。でも自分としてはこれが実力、全て出し切った結果なので満足。今冬のThe Killer Upsとのトレーニングのおかげで初のウルトラマラソンを完走する事ができた。
噂通りタフなレースで、友人の何人もがかなり苦しんでいた。Rはレース後何度も吐いていたし、足が攣りまくってしょうがない人もかなりいた。もう一度走りたいか?と今聞かれると、答えはNo。50kmは走っても良いが、もう少し走りやすいレースにしたい。
ただ、ランナーの多くがかかえる問題は、この辛さ、痛みをすぐに忘れてしまう事。2週間くらいすると「また来年も走ろうかな?」なんて言い出すかも。そしたらそれはそれでOKでしょう。ただ今日だけはゆっくり休んで、美味しいものを食べたい気分だ。