アメリカで銃規制が始まるか?

先日の銃乱射事件の後、銃規制(Gun control)を厳しくするべきだ、という世論が高まっている。ついにはNRA (National Rifle Association)まで何らかの形で乱射事件の防止に貢献する、との声明を出した。。。
ただ、これがそのまま現実的で効果的な銃規制につながるかどうかは分からない。これまでも事件が起きるたびに同じ様な議論が起こったが、結局しばらくすると忘れ去られてしまう。あるいは政治的な意図があるのだろうか、いつの間にか「銃規制しても凶悪犯罪は減らない。」などと言う反対派にそれらしいデータを見せられ皆あきらめてしまう。
  
実際にアメリカでのデータ(このサイトから)を見てみると、銃規制と犯罪の関連性は一貫していない部分もある。興味があったので抜粋してみた。

  • -Washington DCで1976年に銃規制を強化したが1990年代に殺人事件は増加、2008年に銃規制の法律は解除。
  • -シカゴでも同様なデータがある。
  • -フロリダ、ミシガン、テキサス州では銃の携帯を許可した後殺人事件が現象傾向。
  • -死亡事故の35%が交通事故、銃による事件は0.5%。

これらのデータを見ると確かに銃を規制しても必ずしも安全の保証は得られないのでは、と思ってしまう。おまけにアメリ憲法も一般市民が武装する事を認めている。Militiaって一般市民か?

Second Amendment: A well regulated Militia, being necessary to the security of a free State, the right of the people to keep and bear Arms shall not be infringed.

  
でも別の角度から見ると、

  • -アメリカの4割以上の家庭が銃を持っている。
  • -共和党員の41%、民主党員の23%が銃を持っている。
  • -1990から2010年の銃規制反対派の政治献金 $22M(共和党$19M)、肯定派$1.8M。
  • -2008年に起きた殺人事件が16,272件、そのうち10,886 or 67%は銃器が絡んでいた。
  • -1年間のハンドガンによる殺人件数、日本48人(ちょっと驚き)、英国8人、カナダ52人、アメリ10,728人

  
1996年にオーストラリアで起きた観光客35名が殺された銃乱射事件があった。
その直後からオーストラリア政府は当時の首相が中心となり、市場に出回っている自動小銃等、全体の5分の1にあたる数を買い戻したり、個人による銃器の売買を禁止、正当な理由無しで(自己防衛はだめ)銃を買えなくするなど厳しい規制を施行した。
その結果、この後10年間で銃器による殺人事件は59%減少、銃による自殺は65%減少。それまでに11件の銃乱射事件が起きたのに対し、規制施行後は発生していない。(この記事参照)
  
凶悪犯罪が減少傾向にあるニューヨーク市長(マラソンを直前にキャンセルしたあの人w)が行っている"Proactive Policing"、つまり犯罪が起きそうな場所で、起こしそうな人達を職務質問したりして犯罪を予防する様な努力をすれば悲しい事件は減るのでは。
  
映画の"Minority Report"みたいなシステムが出来れば良いのだが。。。