American River 50 Mile Endurance Run

AR50の通称で呼ばれるこのトレランレース。コースはフラットな部分が多く、高低差があまり無いため、ちまたでは、"super-easy"などというランナーもいるらしい。でも、もちろん50マイル走るのは全くフラットのコースでも簡単ではない。去年に続き参加してきた。
  
レース前日(金曜日)は半日休みを取り、昼前には会社を出た。そうしないとサクラメント方面への道路が渋滞するから。Bibをピックアップして、去年と同じAuburnの安宿Motel 6にチェックイン。同僚のMと、日本人のSさんで、ホテル近くの中華料理屋でディナー。今回も胃の調子を保つために月曜日から禁酒。消化の良さそうな焼きそばを食べた。去年はホテルが空いていたせいか、静かでゆっくり眠れたのだが、今年は近くで激しい夫婦喧嘩があったり、ペットの犬が吠えまくったり、おまけに隣の部屋ではアレが始まってしまうし。。。安宿だけあって壁も天井も薄い!なかなか寝付けなかった。
  
当日は午前3時前に起床、3時半にはホテルを出てゴール地点へ。ここから4時過ぎのシャトルに乗ってスタート地点へ移動。この日は皆既月食で赤い月がちょっと不気味だった。午前6時のスタートまで1時間ほどテントの中でMと座って待つ。今年はWave 1の後ろの方からスタート。参加者は800名弱だったと思う。かなりの数が初50マイル挑戦者。
  
スタートは6時ちょうど。まだ夜明けまで1時間半くらいあるので、ヘッドランプをつけてスタート。Folsom Lakeのマリーナから走り始め、American River沿いのバイク用トレイルをサクラメント方面め向かい、Fair Oaksの辺りで今度は上流に向けて走る。山道に慣れているトレランランナーには、この長い舗装路が辛い。自分は約1/3くらいは未舗装の部分を選んで走った。体力を消耗しないようにゆっくり走る予定だったが、どうしても欲が出てしまい後で見たら予定よりかなりオーバーペースで走っていた。

  

  
Beal's Pointがほぼ中間点。ここでAsicsのシューズから、drop bagで置いておいたAltra Olympusに履き替える。ここまでは予定どおり。去年よりはかなり余裕があった。この辺りからシングルトラックのトレイルが始まる。30マイルのエイドステーションまでは順調に進み、チキンスープをいただいた。これがエイドでまともに食べた最初の食べ物。それまではPower Gelと水のみ。これが功を奏して胃の調子も良かった。。。などと思っていたのも束の間。次のエイドまで8マイルもあって、この間激坂ではないが小さなアップダウンが続く。気温も上がり始めて、登りで少しづつ気持ちが悪くなってきた。そして、ついに来た。。。ウッと来た。あ〜、また来た。吐き気に襲われる。こうなると登りでプッシュするとオエッ、下りで胃が揺れるとオエッ。もうどうしようもない。途中で会ったMedical teamにも心配され、「胃薬とかいるか?」など聞かれたが、もう時すでに遅しなので「大丈夫、いつものこと」と言って笑った。しかし、38マイルのエイドに着いた時は最悪な状態。日本人ランナーのFさんに会ったが、彼女の余裕の笑顔に自分はほとんど涙目で話していたことだろう(笑)。なんとか数切れのオレンジを腹に押し込んで、氷水で体、特に痛みが増してきている腰を十分に冷やして出発。
  
このあとしばらく吐き気が収まり、しばらく順調に走れたが、やはりまともに食べていないし、水も飲みすぎると吐き気がするのであまり飲んでいない。間もなくガス欠状態になり足が止まる。この時点で去年より速いタイムでゴールする目標は諦めて、とにかく完走だけを目指す。しかし目標を諦めると精神的にもガックリくる。去年は30マイルから45マイル付近までは不思議なほど元気だったのだが、やはり胃がやられておらず、ちゃんと食べれたのが良かったのだろう。ガス欠でも歩くことは出来る。下りだけ走って、とにかく最後の上り坂、47マイル地点を目指した。

  
最後の3マイル、正確には3.5マイルくらいで1,000ftくらい登ってゴール。急な坂は最初の1マイルくらい。去年は少し走った記憶もあるが、今年はもうヨロヨロ状態。いったい何人のランナーに抜かれたことか。そしてゴール直前、曲がり角を曲がるとゴールが見えると言うところでまたしてもオエッ。。。観客にも心配されてしまった(笑)。ところが、最後の50mくらいは、死の淵から蘇ったように元気が出て、勝利のVサイン、ではなく、2度目の完走の意味でVサインを突き上げ笑顔でゴール。先にゴールしたFさんが待っていてくれて嬉しかった。しかし悲しいことに、ゴールした後も足に余裕が感じられた。足は完全売り切れ状態でゴールしたかったが、ガス欠で走れなくなって足が残っていたのは情けない。
  
2年連続完走した喜びはあるが、やはり胃の問題で思い通りに走れなかったのが悔しい。去年10月の50マイルレースで吐きまくって以来毎レース吐き気におそわれている。精神的な問題か、それとも胃が弱っているのか。どちらにしてもこれを何とかしないとウルトラマラソンは難しい。特にPRを狙うのは不可能に近いなぁ。しばらく大きなレースは入れていない。ちょっと休んで様子を見てみようっと。完走者がもらえるパタゴニアのフリース。触り心地が良くて、うちの猫も気に入ったようだ。ソファに座るとすぐに寄ってくる。猫には弱っている人間がわかるんだろう。